10年ぶりにPCの電源ユニットの交換が必要になり、選定の結果、中国のDEEPCOOL製という自分でも意外な選択をした。しかも2台も。(2022年12月の出来事)
電源ユニットはPCの性能に直接影響しないし、初期不良がなければたいてい5年以上は動くし、他のパーツに比べれば使用期間に対するコストは安めだからなのか、電源ユニットのレビューは少な目だ。参考情報がとても少ない。※
とはいえ、どうせ買うならできるだけ合理的な判断をしたい。まあそんなこともあって、電源ユニットの選定について書いてみた。
ちなみに、タイトルにあるDEEPCOOLは工場が深圳、本社は北京だそうだ。北京の会社と言うより深圳の会社と言った方が怪しさが増すと思うのは、単なる私の主観によるものだ。
※追記:探せば詳細なデータはあった。文中に追記。
電源ユニット交換の経緯
2022年末の同じ時期に、10年使い続けてきたPCの電源ユニットを2台も交換することになった。1台は電源ユニットの外寸縮小のため、もう1台は電源ユニットのファン故障のため。2台目故障は1台目のDEEPCOOL選定後にたまたま発生したので、この際なので迷わずDEEPCOOLを選択した。
1台目は、グラボの簡易水冷化をした際にラジエター(Kraken X63)を増設することとなったが、PCケースの都合上(Fractal Design VectorRS)底面に設置するのが合理的だった。ところが底面は既存の電源ユニット(サイズ帝力750W・Gold)のケーブルが1~2cmだけ干渉し、設置できなかった。電源ユニットの奥行長は16cm。
電源ユニットのサイズなど全部同じだろうと思っていたら、世にはそれより小さい14~15cmの製品があるらしいので、この際10年間働き続けてくれた電源にも予備役に入ってゆっくりしてもらおうと思い、交換に舵を切った。
2台目は同じく自宅サーバで10年使ってきた電源ユニット(ENERMAX PLATIMAX600W・Platina)のファンが回転しなくなり、修理はしたものの今後の寿命も考えてこの機に交換した。10年以上にわたって24時間連続運転をこなした。大したものだ。
この記事では1台目の選定について記す。
なので、電源ユニット外寸が15cm以下であることが、選定の”おま環”的必須要件となる。ただ、単純に小さいことはいいことではある。
選定
正直、電源ユニットの選定など、電力容量や80PLUSグレードなどの「カタログスペック」要素以外に基準となる情報がほぼない。
長く使う製品なので「○○の電源ユニットは10年無故障で完走した」などという情報があっても、その製品が手に入ることはほぼない。せいぜい、○○のメーカーは信頼性が高いとかの風説程度。定量的なものにはお目にかかれない。
何より、筆者自身も電気回路を見てもよさがわからないので、品定めをする能力が乏しい。
とりあえずは選定要件を抽出した。
選定要件
- 外寸奥行きが15cm以下(必須) →そもそも交換する目的が電源の小型化
- フルプラグ(必須) →ユニット奥のスペースがタイトなため柔軟性を確保したい
- 日本製コンデンサーを使用していること(やや必須) →長持ちの要素
- 長期のメーカー保証があること(やや必須) →品質の実測は不可能である代わりに、その担保として
- 価格は1万円前後(できれば) →バカ高は避ける・いいものでも高いものはつまらない
- 80PLUS認証はGOLD以上(できれば) →廃熱を気にして前もGOLDにしていたから
- 電源容量は800W以上(できれば) →買い換えるなら750Wからアップグレードしたい
とまあ、こんなところ。最後の3つは割と柔軟な条件。
製品探し
条件が決まれば検索。kakaku.comの「条件をまとめて検索」で条件投入。
2022年12月中頃当時の検索結果は記憶でしか残っていないが、玄人志向、SilverStone、DEEPCOOLの製品がいくつかが候補に残った。必須の要件のところで微妙なところとなった。
玄人志向は750W品なら15cmで条件を満たすが、850W品だと16cm。微妙。
SilverStoneは850W品でも14cm。メーカー保証期間が5年間。
それに対して、DEEPCOOLは850W・14cmを満たした上に、メーカー保証10年。
すばらしい。
製品名はDEEPCOOL PQ850M。検索当時12,700円。オフィシャルページがないのでここを。
※23年1月下旬の現在では価格が2万円程度になり、取扱店舗も減っているので製品販売が終了したのかも知れない。
GOLDの850Wは16cm品が多く、小さく作るには技術が必要なのかもしれないが、上の記事にあるシリーズの1000W品も14cmだ。大丈夫なのだろうか。
私はDEEPCOOLというメーカーをあまり知らない。CPUクーラーなどいろんなPCパーツを安く出している印象だ。
中国深圳(本社北京)の会社らしく、日本では余り販売されていなかったが、海外では以前から電源ユニットを開発・販売し続けてきていたらしい。深圳の会社と言うだけで怪しいイメージを持ってしまうが、実は次の動画を見てDEEPCOOL品を選ぶことに決めた。
選定を後押しした参考動画
イタリアの方と思われる、オシロでこの製品(PQ850M)の電圧波形をチェックしている強者がいた。
冒頭でコンデンサーが日本製であることをチェックしている。測定では、電源の品質を示す波形の歪みがないことの確認や、スペックを超えた過負荷をかけた状態での限界値なども実験で確かめている。品質は十分のようだ。
冷却機器が専門と謳っているが、製品にヒートシンクの写真が多く見られ、アルミの加工・成形を基礎にしているのか。財務諸表は見当たらないが、取り扱い技術の列挙が町工場的だし、工場の写真からもそれほど大きな会社ではなさそうだ。地に足の着いた製造業という雰囲気。
CPUクーラーが得意なのはわかるが、電気回路とは縁遠そうではある・・・
DEEPCOOLと言う会社がどうなのかまでは判断はつかないが、まあ少なくともこの製品の品質が高そうであることは確認できたし、スペックも価格も条件を満たしている。これを買わない理由はなくなった。
気になると言えばDEEPCOOL社が保証期間の10年後まで存続しているかどうかくらいか。まあ1万円程度の買い物なのでそこはヨシとする。
この動画は選定を後押ししてくれた。このようなマニアックな試験をして動画を公開してくれた動画主に感謝を申し上げたい。
Grazie, Falco75 !
追記:詳細なレポートあった
この記事をリリースした後にシリーズ品、PQ1000Mの詳細なレポートを発見した。これによると、性能的には概ね良好と読めるが、最上というわけではない模様。価格を考えれば十分とは言える。
また、下のcybeneticsは古くから数多くの電源の評価を続けているそうで膨大なレポートを参照できる。PQ850Mの評価シートもあった。cybenetics的には”GOLD認証”とのことだ。
上のサイトもここのデータを利用している模様。SeasonicのOEM品とも明記してある。
また、ノイズレベルは”Aマイナー認証”でGOLDよりやや落ちるが、実際に使用していてファンのノイズが気になったことはほとんど無い、というか、ケースファンの音しか聞こえない。
EFFICIENCY AND NOISE LEVEL CERTIFICATIONS PQ850M
「電源に関する情報はない」と記事冒頭で語ったが、単に私が知らなかっただけだった。(笑)
設置(自分語り)
製品写真と設置状況を一応。
開封写真一式
開封感想はコンパクト、シンプル、機能的デザイン。いいんじゃね?と思った。
12cmファンが使われている。大容量電源は14cmのものしか見たことがなかったので意外。これが外寸の小ささの要因のようだ。ファンが小さければ冷却能力が落ちることになるが、発熱が少なければそれでもいいわけで。
実際に設置後に、特段ひどい熱風を感じたことはない。
前後比較
左が新、右が旧。
とてもわかりづらい写真だが、電源ユニット奥行きは14cmとなり、背後に目的に沿う十分なスペースを確保できた。
付属の各ケーブルは割と柔らかめで、配線作業はしやすかった。
初期不良も特になく、この1ヶ月間正常に動作中。
この記事では触れなかったが、自宅サーバには同じ製品ライン上のPQ650Mを採用した。これからフルタイムでの長期任務に携わる中で、真の耐久性を証明してくれることを期待している。
ところで、元々の目的だった水冷ラジエターの底面設置だが、設置スペースは確保できたものの、ホースがわずか1,2cm届かず、実現できないというマヌケなオチとなった。
VectorRS、デカすぎ。(笑)
まとめ
水冷ラジエターのホース長には気をつけよう。(ん?)
DEEPCOOLの電源ユニット、アリかもね。品質は問題なさそう、耐久性はわからないが10年保証で担保。
そんなとこ。
※追記:Seasonic製品と思えばいいらしい。身も蓋もない。
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